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July 08, 2005

北村薫『ニッポン硬貨の謎』

ニッポン硬貨の謎
4488023827北村 薫

東京創元社 2005-06-30
売り上げランキング : 3,444

おすすめ平均 star
star巨匠クイーンへの敬愛の念がひしひしと伝わってきます
starパスティーシュの新たな傑作

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を読んだ。
最初の数節は鳥肌が立つ。まさにクイーンが書いたとしか思われない文体に、名文、名言のオンパレード。ここを書くときには、北村氏に「神」(クイーンのこと)が降りていたに違いない。とくに犯人が最初に登場する一節などは神がかりな見事さである。しかもその流麗なる文章のかげに伏線がきちんと仕込んである。
中盤の圧巻は、「シャム双子」論。クイーンはこういうことをやる作家なのだ。なにしろ二人二役までやった作家なのだから。挿話として捉えてしまいそうなこのシーンも実は伏線なのだ。
≪魔法の言葉≫にまつわるクイーンの推理は、本格ミステリのそれとしか言いようがない。≪魔法の言葉≫によって「ありえないこと」が起きる。一瞬、虚構が現実になったかと錯覚してしまうようなことだ。つまり≪魔法の言葉≫がおもしろい現象を生む、というそのことが、「本格」だ、と感じさせる部分なのだ。これも一種の謎と解決の妙と言っていいんじゃないか。
そして見逃してはならないのは一種の叙述(?)トリックだ。これも上の部分と密接に関わってくるのだが、読者はそこで騙されるからこそ、クイーンの上の推理にハッとすることができるのだ。
犯人の動機は「天上の論理」が支配した奇妙なものだった。これについては僕が後期クイーンをほとんど読んでいないので、あまり言及しないほうがいいかもしれない。「訳注」を読んでみると、こういうタイプのものが後期クイーンには多いのかな。
これまで書かれたクイーンのパスティーシュの中で最高級の作品であることは間違いない。クイーンファンは必読だー!

クイーン論の続きを読みたいなぁ。

表紙の50円玉には日本地図と本格おじさん、裏表紙の50円玉にはダネイとリーが隠れている。どれも昭和52年製なのは、ダネイが来日したのがその年だからだろう。

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