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May 18, 2005

岡嶋二人『そして扉が閉ざされた』


を読んだ。
クローズドサークルもの。といってもそこで殺人が起こるのではなくて、推理するという話。クローズドサークルというより一種の密室劇か。
こういう奇抜な設定は僕はあまり好きじゃないのだけれど、まあ面白かったです。
いまいち乗り切れなかったのは、視点人物である雄一が気に入らなかったからでしょう。
雄一の言葉「ほんとに大切なことに意味なんかないよ。面白い、くだらねえ、好きだ、嫌いだ、うれしい、かなしい、そういう感覚があるだけだ。感覚に意味なんかつけないでもらいたいね」
そもそも雄一が咲子を振らないで正志の許婚者である鮎美にちょっかいを出したから事件が起きたのであって、なのに雄一はそれをちっとも反省していない。雄一の「論理」によれば、自分の鮎美に対する恋愛感情が本物だから、それは正当なことだ、というわけだろう。
要するに雄一は自分勝手なだけだ。物事に意味はない、感覚があるだけだという雄一だから、自分の感覚がすべてを正当化すると思っている。僕はこういう発想にはまったく賛同できない。僕は、むしろなんらかの「意味」のためには、感覚を犠牲にすることがやむを得ない場合もあると思っている。
僕が雄一の立場だったらきちんと落とし前をつけて次の段階に進むだろう。もし自分のために悲劇が起きたら反省するだろう。
しかし、雄一はもてやがるのだ。感覚が意味になる者は幸いなるかな、である(笑)。
ともあれ、ちょっとした面白い仕掛けがしてあるので、一読の価値はあるでしょう。

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