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May 02, 2005

山村美紗『花の棺』


を読んだ。
内側から施錠された茶室で、華道界の<京流>家元が毒殺された。茶室の周囲の雪には足跡がなかった。
二重密室だが、足跡のトリックは脱力もの。それにひきかえ茶室の密室トリックは秀逸で、これを知るだけでも読む価値はあるかも。小ネタだし、調べられたら終わりという感はあるけど。
キャンピングカー消失のトリックは何がしたいのかよくわからず、結局理解できなかった。
謎解きとしてはトリックに頼りがちだとは思うが、水準はクリアしていると思う。山村美紗原作の2時間ドラマはよくあるけど、このまま2時間ドラマになりそうな雰囲気がある。サングラスの男とか雑誌記者とか事件を調べる男女二人組みとか。
欲を言えば、犯人をもっと芸術家らしくしてほしかった。せっかく芸術としての犯罪をやっているのに、最終章の「告白」では犯人の人間的な内面しか描かれていなかったので、そこが個人的には残念。犯罪全体の象徴的な意味合いを強め、犯人像を強烈にするためにも、最後まで犯人を狂気の芸術家として描いてほしかった。

それからこれは常々感じていることだけど、毒殺と密室は相性が悪いと思う。
毒殺は遠隔殺人が容易なので、密室は不可能ではなくなる。犯人が出て行ったあとで、被害者が内側から施錠し、毒物が入った飲み物を飲めばよいのだから。
だから密室ものにする際は、毒殺にしないほうが良いと思う。

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