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May 04, 2005

アリバイ講義

アリバイ講義やります。
alibi-image
被害者が0時に0地点で殺され、犯人に「t時、p地点にいた」というアリバイが成立しているとします。それを図で表したのが左のものです。トリックの分類をします。




(1)犯人は本当にt時、p地点にいた。
(1-A)犯行時刻に錯覚があった。
alibi1aa
alibi1ab
犯行時刻が違ってくると、光円錐全体が上か下に移動することになります。黒い点を内部に含むように移動してやればよいのです。左の図は犯行時刻が0時よりも後だった場合、右は0時より前だった場合です。右の場合は、犯人は犯行を終えてから、t地点に行き、アリバイ工作をしたことになります。


(1-B)犯行現場に錯覚があった。
alibi1b
空間軸方向に光円錐を平行移動しても、黒い点は含まれます。つまり犯行現場が違っていた場合です。
補足ですが、犯行時刻と犯行現場の両方を錯覚させることによっても((1-A)と(1-B)の組み合わせ)、犯行は可能になるでしょう。とにかく光円錐の中に黒い点を含ませればよいのです。



(1-C)限界速度に間違いがあった(ルートに盲点があった)。
alibi1c
犯人が確かに黒い点のところにいながら、現場に間に合うことができた場合です。その場合はp地点からo地点を、t時からo時までの時間で移動できたのだから、限界速度が間違っていたことになります。ルートに盲点があったり、通常考えられない移動手段を使ったのでしょう。



(1-D)遠隔殺人。
犯人は確かにt時、p地点にいたし、光円錐で表された時間の壁も間違っていない場合は、遠隔殺人のトリックを使ったことになります。
(1-E)誘導自殺。
これは僕は例を知らないので、なんとも言えませんが……。『マジックミラー』によると、自殺させるという手もあるらしいです。




(2)犯人はt時、p地点にいなかった。
(2-A)証人に錯覚させる。
alibi
(2-A-a)時間を錯覚させる。(2-A-b)場所を錯覚させる。(2-A-c)人物を錯覚させる。
の3つの方法です。とにかく時間の壁の内側にいたのに、外側にいたと思わせればよいのです。犯人が本当にいたのは大きな黒い点ではなく、小さな黒い点だった。人物を錯覚させる場合はどこにいてもよいでしょう。



(2-B)証拠物件を偽造する。
証拠物件を偽造して時間の壁の外にいたと思わせた場合です。
偽造されていない証拠物件によって捜査陣を錯覚させるというトリックもあります。
(2-C)証人が嘘をついた。
証人が嘘をつけば、簡単にアリバイは成立しますね。

以上です。ほとんど『マジックミラー』のアリバイ講義と同じ気がしますが……、まあよいでしょう。この図によって見えてくるものもあります。

上の例では「犯行時刻に間に合わない」タイプのアリバイを例にとっています。ですが、ずばり犯行時刻に、別の場所にいたアリバイがある場合にも、上の分類は通用します。(1-C)のトリックが使いにくくなる程度です。

多くの場合、犯行推定時刻には幅があります。ですので正確に光円錐を描けばこうなります。
alibi3

犯人が(2-A-a)証人に場所を錯覚させるトリックを使い、犯行時刻に間に合わないというアリバイを得たとします。しかし何らかの事情によって犯行推定時刻が大きく幅をとって採用されると、「アリバイトリックを使ったのにアリバイが成立しない」という皮肉な事態も起こりうるでしょう。

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Posted by: sammenlign mobilabonnement | April 03, 2014 01:28 AM

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