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April 29, 2005

密室→アリバイ(其の一)

A、犯行当時、犯人は密室の中にいた。
 a、密室の外から密室を構成する。
  1、ピンと糸のトリック。
  2、鍵を部屋の中に戻すトリック。
  3、その他の機械的方法。
  4、被害者自身が防衛のためなどでみずから錠を下ろした場合。

 b、犯人は発見当時、密室の中にいた。
  1、密室に隠れていた。
   い、被害者に化けて死んだ振りをしていた。
   ろ、隠れ場所の盲点。
   は、変装の活用。
  2、密室の中にいたが凶器を所持していないなどの理由で嫌疑を免れていた。

 c、秘密の抜け道。(「ユダのドア」。煙突から脱出したり、ドアや窓をそのまま取り外すやつ)

 d、密室ではなかった。(発見時にこっそり錠を下ろしたり、鍵をそっと被害者のポケットに入れるタイプ)

 e、犯行時刻の錯覚によるトリック。(密室が閉ざされていた時間に殺されたと思われたが実際は違った)
  1、密室が破られてから殺す。
   い、早業殺人
   ろ、被害者が死んだふりをしていた

  2、密室になる前に殺す。

B、犯行当時、犯人は密室の外にいた。
 a、遠隔殺人。(犯人は密室の外から、中にいる被害者を殺した。このタイプはかなり多い)(銃や矢では、ユダの窓が問題になる場合、弾道が問題になる場合、がある)

 b、被害者も密室の外にいた。犯人は、密室の外で被害者を殺害し、その死体を何らかの方法で密室の中に運び込む。または部屋の外で瀕死の重傷を負った被害者が自ら部屋に入り、内側から施錠する。

C、事故、自殺。
 a、偶然によって殺人に見える事故。

 b、自殺。
  1、自殺者みずから自殺を殺人に偽装する。
  2、発見者が自殺を殺人に偽装する。

密室トリックとアリバイトリックに互換性があるなら、新しいトリックを作ることも可能ではないか、という企画の続きです。
僕の密室講義は上のものです。なかなかよくできているでしょ。
これをアリバイトリックに変換します。
大枠の分類には乱歩の「類別トリック集成」の密室トリックにおける分類を踏襲しています。
(1)犯行時、犯人が室内にいなかったもの。
(2)犯行時、犯人が室内にいたもの。
(3)犯行時、被害者が室内にいなかったもの。
(4)密室脱出トリック。
という有名な四つの分け方です。
密室をイメージ的に捉えると……

(ある時点Tにおいて)
      ____
     |     |
     |   A |
     |     |  B
       ̄ ̄ ̄ ̄       C

                                       D

下手ですみません。四角いのが部屋で中にAさんの死体があると思ってください。密室に時間の要素がないかというとまったくそんなことはなく、永遠に密室である密室はありません。密室には密室になるときと密室が破られるときがあって時間が限定されています。
BさんとCさんは密室の外にいるので犯行は不可能です。この二人にはアリバイは成立していないとします。
Dさんが離れた場所にいます。彼にはアリバイが成立していることにします。Dさんはある時刻Tに、上図のDの位置にいたことが立証されているから、Aさんの死亡推定時刻までには犯行現場に間に合わない。
つまりDさんとBCさんを隔てる見えない壁があることになります。これを「時間の壁」と呼びましょう。
この時間の壁は、犯行時刻から時間的に遠のくにつれ、空間的に広がっていきます。
たとえばAさんが夜の9時に殺されたとします。そうするとDさんが8時30分にDの位置にいたとすれば、アリバイは成立します(30分間でA地点に到達できないとします)。ところがDさんが昼の1時にDの位置にいたということしか証明できなかったら、アリバイは成立しないでしょう。A地点に夜の9時に到達するには十分に間に合うからです。昼の1時の時点の時間の壁は広がり、D地点は時間の壁の内側にあることになります。昼の1時にDさんがもっと遠くに(時間の壁の外に)いたことを証明できれば、アリバイは成立するでしょう。
つまりアリバイとはある時点で時間の壁の外にいたという証明なのです。言い換えれば、どんな殺人も時間の壁に囲まれた密室殺人なのです。(僕の説明で分からない人は『キマイラの新しい城』98ページの図を参照してください。)
上の図では、ある時点TのBさんCさんDさんの位置を示していますが、DさんとBCさんの間に見えない壁があると思ってください。
なぜこんな小難しいことを考えているかというと、密室トリックをアリバイトリックに変換するのに必要だからです。Dがある時点TでD地点にいたというアリバイをもっていたとします。つまり時点Tでは時間の壁で囲まれる空間はDを含まない程度に小さいのです。彼が犯人であるならば、この越えられないはずの時間の壁を越えて、犯行を行ったことになります。
ここで、乱歩の4つの分類を、アリバイの分類に変換してみましょう!
(1)T時、犯人が「時間の壁」内にいなかったもの。
(2)T時、犯人が「時間の壁」内にいたもの。
(3)T時、被害者が「時間の壁」内にいなかったもの。
(4)「時間の壁」突破トリック。
疲れたので続きはまた。

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