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April 06, 2005

麻耶雄嵩『名探偵 木更津悠也』

の感想。
「白幽霊」……事件の構造としては面白い。しかしロジックが単純すぎる気がする。惜しい。
「禁区」……「奇妙な論理」の作品。「奇妙な論理」を受け入れることができれば、楽しめる。「幽霊」がいちばんうまく使われている作品だと思う。……しかし、あれだけで、知耶子はあのことを気づくかなあ。いくら勘がいいといっても。普通なんとも思わないと思う。そこが大きな欠点に感じられるので、う~む。
「交換殺人」……これは解けないなあ。とにかく交換殺人と無差別(?)殺人を結びつけた設定がすばらしい。途中でバンバン出てくる推理が(難解だが)面白い。途中が複雑な割には、真相はシンプル(?)。しかし手がかりが少ない。木更津先生にどうやって真相を見抜いたか、訊きたい。
「時間外返却」……いちばんストレートな作品。四作品の中では最も捻りがない。肝心の時間外返却も、そのままの解釈でいい。ロジックも納得できないし微妙な印象を受けた。
順番に春夏秋冬の事件になっている。「時間外返却」の最後にも「春夏秋冬」とあるから意図的なものだろう。巻末を見ると執筆した順番は違うようだが。白幽霊のモチーフからしても、一巻の短編集としてまとめる気だったのだろう。うまくしめる意味では、時間外返却で幽霊の正体を鈴子としたほうが良かったように思う。
全体的に地味な印象を受けるが、その理由の過半はワトソン役と探偵のゆがんだ関係にあると思う。つまり書き手が、謎に苦しまないし、探偵の推理に感動しない。だから、読者としてもいまいち盛り上がれないのだ。やはりワトソン役は少し馬鹿で、探偵の推理を聞いてやっと「ああ! そうだったのか!」と驚く人間がいいのかもしれない。

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